耳抜き相談室
for divers

耳抜き、大丈夫ですか?

ダイビングやシュノーケリングで
安全に耳抜きする方法

はじめに

耳抜きが簡単にできる人、抜けづらい人、
ダイバーの中でも様々です。

自分は耳抜きができないと思い込んでしまっている方、実は耳抜きの方法が間違っていたかもしれません。
それぞれの体質によるものもありますが、経験を重ねてコツを掴むとスムーズに抜けるようになる事が多いのも事実です。
適切な耳抜きの方法とコツを覚えて、リラックスしたダイビングを楽しめるようになりましょう!

耳抜きとは?

耳の解剖図

耳抜きって何?

ダイビングは、水中に潜っていくと耳に水圧がかかり、耳がツーンとなり違和感を感じます。日常生活では、トンネルの中やエレベーターの中、飛行機に乗った時などに耳がツーンとしてくる状態です。
そのツーンとした状態を解消させるのが「耳抜き」です。

なぜ耳がツーンとなるの?

ツーンの要因は、耳の鼓膜(上の図の赤い部分))が、外側から押されたり、内側から押し出されたりして起こります。

どうして外側から押されたり、内側から押し出されたりするの?

それは、鼓膜を境に外側と内側で圧力の差が出来るからなのです。

では、圧力の差ができるのはどんな時でしょうか?

  • ◆鼓膜が外側から押される場合・・・
  •  ダイビングの潜降中、エレベーターの降下中、山から下山している時など。
  • ◆鼓膜が内側から押し出される場合・・・
  •  ダイビングの浮上中、エレベーターの上昇中、山へ登っている時など。

圧力の差ができるのは、何故?

簡単に言うと、大気圧(大気が体に及ぼす力)と水圧(水が体に及ぼす力)の関係です。

今、私達が生活している地上0mでは、大気圧は1気圧です。
水中では、水の重さが加わり、10m毎に1気圧ずつ増えていきます。
つまり、水深10mで人間にかかる圧力(環境圧)は、

大気圧:1気圧+水圧:1気圧=環境圧:2気圧

となります。

大気圧 水圧 環境圧
0m 1気圧 0気圧 1気圧
-10m 1気圧 1気圧 2気圧
-20m 1気圧 2気圧 3気圧
-30m 1気圧 3気圧 4気圧

逆に、飛行機や登山などで地上0mより上昇する場合は、空気の重さが徐々に軽くなり、体に浮ける圧力も少なくなります。

ただ、水中と比べると圧力の変化が緩く、0.5気圧の圧力変化を体に受けようとすると、水中ではたったの水深5mに潜るだけで0.5気圧の変化がありますが、登山なら5500mまで上がらなければいけません。

つまり、人間が今いる地上0mより上がったり下がったりすることで、体に圧力の変化が生じることになります。
登山の時、スナック菓子を持っていったら、袋がパンパンに膨らみますね。これもその圧力の影響です。

耳抜きをしなかったらどうなる?

耳抜きをせずに鼓膜に圧力を掛け続けると、鼓膜が鼓膜が中耳の方へ押し込まれて難聴気味になり、鼓膜の付け根に痛みが生じたり、違和感を感じます。

水中の場合、耳抜きをせずに潜降し続けると10mで鼓膜が破れてしまいます。
また、耳抜きがちゃんと出来ていないと、肩こり、慢性的な頭痛、平衡感覚異常、難聴、耳鳴り、めまい、吐き気、視覚障害等が出る場合があります。

これらを防ぐためには適切な「耳抜きの方法」をしっかりと知る必要があります。

耳が抜けない要因

ダイビングは好きだけど、毎回、耳抜きに苦労するため、ダイビングから足が遠のいてしまっているダイバーも多いのではないでしょうか。
何故抜けないのでしょうか?

人間の顔の形が様々であるように、耳抜きに関係する耳管の形状も様々です。耳の左右にも違いがあります。
その為、耳が抜けやすい人もいれば、抜けにくい人もいます。しかし、抜けにくい人の中でも身体的要因がある方は1~3割ほどとも言われます。
耳の抜けにくい多くのダイバーは、適切の耳抜きの方法ができていない、タイミングが悪いということが考えられます。

まずは、耳抜きができない要因を探り、適切な耳抜きの方法やコツを身につけましょう。

では、どうして耳抜きが出来ないのでしょうか?

要因としては以下のものが考えられます。

  • ●耳の形状の問題
  •  生まれつき耳管が極端に細かったり、耳管の機能が極端に悪かったりする場合。
  • ●耳管の粘膜が腫れてしまっている場合。
  •  風邪、疲れ、、寝不足、二日酔いなどの体調不良
  •  アレルギー性鼻炎、花粉症、中耳炎、耳管閉塞症(生まれつき細く詰まりやすい、耳管変形)
  • ●過度の緊張
  •  不安やストレスから来る顔面や耳周辺の血行障害による場合。
  • ●耳抜きの方法の問題
  •  耳抜きの方法が間違っていたり、不十分だったりする場合。
  • ●ダイビング環境の要因
  • うねりにより、水圧の変化が急激になるため、耳抜きが間に合わない。
  • 気温や水温が低いために耳抜きに関係する器官周辺の血行障害。

これらの要因を探り、必要な対策やコツを知ることで、耳抜きが克服できるかも知れません。
早速、ご自身でできる耳抜き対策とコツを実施してみてください。

耳抜きの方法

耳抜きとは、ダイビング中(潜降中)に水圧により鼓膜が内側に圧迫された時に感じる違和感や痛みを無くす方法です。

耳抜きの方法にはいくつかありますが、地上と比べ水中では圧力の変化が非常に早いため、素早く確実な耳抜きの方法を取らなければいけません。

抜けやすい方法は人それぞれですので、以下の方法を組み合わせてみるなど、ご自身にあった方法を試してみてください。

  • ◆鼻をつまんで(または鼻をふさいで)鼻をかむように息を鼻から出す方法(バルサルバ法)
  • 最も一般的な方法ですが、この方法は中耳腔に急激に圧力がかかるため、耳管周辺のうっ血や腫れなどを引き起こすという欠点があります。無理に行うと浮上時にリバースブロックを起こす可能性もあります。優しくゆっくり行いましょう。
  • ◆鼻をつまんでつばを飲み込む方法(フレンツェル法・トンビー法)
  • つばを飲み込むことにより耳管を開放し、中耳腔に空気を送り込む方法で、耳管に負担をかけない安全な方法です。
  • ◆鼻をつまんであごを左右に動かす方法
  • ◆鼻をつまんであくびのしぐさをする方法。(ヨーング法)
  • あくびをすると耳管が開放し、鼻腔内の空気が中耳腔の送り込まれることにより耳抜きが可能となります。空気を無理に送り込まない方法なので、耳管に負担をかけない安全な方法です。
  • ◆首を回りながら、或いは、左右に動かしながら上記の方法をする
  • ◆あごを前に出す方法
  • 通称アイ~ン法
  • ◆左右片方だけが抜けない場合は、抜けてない方の耳を水面に向けて、もう一度おこなってみる
  • ◆声を出す(詳しくは「右脳と左脳の関係」を)
  • ◆呼吸を整える

【注意!】
耳抜きを強引に行なうと、鼓膜を傷つけたり、内耳にダメージを与えることがあります。
また、浮上するときに空気が抜けない(リバースブロック)ようになることもあります。無理は禁物です。
どうしても耳が抜けない場合は、ダイビングを中止しましょう。

耳抜きのタイミング

【5m潜る毎の水圧の変化率】

水深 環境圧 圧力変化率
0m 1気圧 0
5m 1.5気圧 1.5倍
10m 2気圧 1.3倍
15m 2.5気圧 1.25倍
20m 3気圧 1.2倍
25m 3.5気圧 1.16倍
30m 4気圧 1.14倍

※環境圧とは、大気圧と水圧の合計

耳抜きが苦手なダイバーの多くは、耳抜きを行うタイミングが遅くて、抜きにくくなってしまっている方も多く見られます。

耳が痛くなってしまっている状態では、鼓膜に圧力が強く掛かってしまっている為、耳が抜けにくくなっています。
何となく鼓膜がツーンと押される圧迫感を感じ出したら、抜かなければいけません。
日常生活では、飛行機やエレベーターに乗った時や、トンネルを抜ける時に感じるあの違和感です。

ダイビングにおいては、1度耳が抜けてもさらに深く潜っていくと、水圧がまた変化するため、違和感を感じたら何度も耳抜きをする必要があります。

表の通り、水深0~5mまでは水圧の変化が一番大きい為、より頻繁に耳抜きを行わなければいけません。
個人差があるので、「頻繁に」の目安が難しいですが、1~2呼吸毎に耳抜きをしてみましょう。

5mの壁を越えると、圧力変化は小さくなりますので、耳抜きの回数も少なくなってきます。

耳が痛くなっている場合は、耳抜きが間に合っていません。鼓膜を押す力が強くなっていますので、耳抜きもし辛くなります。
それ以上深くに行かず、50cm程浮上して圧力を減らし、もう一度耳抜きを行います。
決して、耳が痛いのを我慢したまま潜り続けないようにして下さい。最悪の場合、鼓膜が破れてしまいます。

どうしても耳が抜けない場合は、ダイビングを中止しましょう。

耳抜きの対策とコツ

自分で事前にできる耳抜き対策をとり、コツを知ることでスムーズな耳抜きとリラックスしたダイビングを楽しみましょう!

  • ◆体調を整え、前日は深酒をせず、しっかりと睡眠をとりましょう
  • 風邪、鼻炎、花粉症、寝不足、疲れ、二日酔い、身体の冷え等は、耳管や喉にある耳管開口部がむくみやすくなる為、耳抜きがしにくくなります。
    ダイビング前日は体調を整えましょう!
  • ◆耳抜きが苦手であることを、ダイビング前に担当ガイドに伝えておきましょう
  • 担当のガイドに耳抜きが苦手であることを伝えておけば、一緒について潜降してくれたり、水中で耳が抜けない場合には、アドバイスをくれたり対処してくれます。
    「迷惑をかけたくない」などと考えずに、事前に伝えておきましょう!
  • ◆ダイビング前にガムを噛んだり、飴を舐める
  • ガムを噛んだり、飴を舐めることであご周辺の筋肉を動かします。あごを動かすことで、耳管周辺の組織が温められ、筋肉の緊張も和らぐ事で効果があります。
  • ◆鼻を軽くかんでおく
  • 鼻が詰まっていると耳抜きが上手くいかなくなります。潜る前に鼻を軽くかんでおきます。決して強くかまないで下さい。
    鼻を強くかむことで、耳管に負担がかかって腫れてしまい耳抜きがさらにし辛くなります。
  • ◆ダイビング前の準備を余裕を持ってしっかりと行い、不安要素を無くておきましょう
  • ちょっとしたトラブルがストレスになり、耳が抜けにくくなります。
    器材のセッティングやマスクストラップの調整、器材の使い方の確認など事前にできる事は慌てずしっかりと行っておきましょう。
  • ◆潜降する直前に、水面で一度耳抜きをする
  • まだ圧力の掛かっていない水面で耳抜きをしておくことで、耳管の準備運動ができ、その後の耳抜きのスムーズになります。
  • ◆潜降ロープやアンカーロープにつかまり、足先からゆっくり潜降する
  • ロープにつかまらないフリー潜降の場合、潜降スピードが早くなりすぎて、耳抜きが間に合わなくなります。中性浮力がとれるようになるまでは、ロープにつかまり、ゆっくりと潜降するようにします。
    また、ヘッドファースト(頭から潜降)の場合、耳管内の空気が鼓膜に届きにくくなります。空気は水面へ向かいますので、耳管内の空気の流れがスムーズになるように足先から潜降します。
  • ◆耳が痛くなる前に、ツーンと違和感を感じたら耳抜きをします
  • 耳が痛いと感じたら耳抜きが間に合っていません。特に水深5m迄は、一番水圧の変化が大きいので、頻繁に耳抜きを行います。目安として、1~2呼吸で1回行ってみてください。
    しかし、力みすぎてはいけません。鼓膜が傷ついたり、中耳炎になることもあります。耳抜きは、ゆっくりこまめに優しく行います。
  • ◆耳が抜けにくい場合は、50cmほど浮上してもう一度耳抜きをします
  • 少し浮上することにより水圧が減ります。、鼓膜が押される力が小さくなるので、耳が抜けやすくなります。それでも抜けない場合は、さらに50cm浮上して耳抜きを行います。
    耳が抜けたら、ゆっくりと再潜降していきましょう。
  • ◆片方の耳が抜けない場合は、抜けていない方の耳を水面に向けて耳抜きをします
  • 空気は水面へ上がっていきます。耳が抜けていない方を水面に向けることで、抜けてない鼓膜に空気を集中させて送ることで抜けることがあります。
  • ◆耳の付け根からあごのラインに沿ってマッサージをしてみましょう
  • ガムや飴を噛むことと同様の効果ですが、マッサージをすることで、耳周辺の組織が温められ、筋肉の緊張も緩み、耳が抜けやすくなります。
  • ◆ダイビング後は血糖値が下がらないように、甘いものを摂りましょう
  • ダイビングで疲れてくると血糖値が下がってしまいます。血糖値が下がると体温も低下する為、耳抜きがし辛くなります。適度の食事を摂ったり甘いものを摂るようにしましょう。
  • ◆耳の中に水が入っていたら、水を出しておきましょう
  • 耳に違和感が残っている場合、耳に水が入っていることが多いです。ケンケンしても水が出てこない場合は、暖かい所で耳を当てて温めるか、もう一度耳に水を入れます。そうすると出やすくなります。

【一口メモ】
ダイビング後直ぐに、綿棒などで耳をお手入れする方がいらっしゃいますが、ダイビング後は耳の中もふやけていて傷つきやすくなっていますので、しばらく時間をおいてからにしましょう。

右脳と左脳の関係

不安感や恐怖間があるときには声を出すようにしましょう。これには人間の右脳と左脳に大きな関係があります。

右脳は、五感を司る動物的な脳と言われ、視覚・聴覚・臭覚・味覚・触感を認識する。音楽、図形、絵画、立体、パターン認識など。
左脳は、思考や論理を司る人間的な脳と言われ、文字や言葉を認識する。論理的思考、言語、文字、記号、計算など。

この右脳と左脳をバランスよく使わないとストレスとなってきます。

ダイビングの場合、不安感や恐怖感は左脳が抱いています。そのまま、放っておけば、不安や恐怖はさらに増し、パニックに陥る可能性もあります。
耳抜きの場合、不安感や恐怖感により体が緊張して、耳が抜け辛くなります。

ダイビングにおいてストレスを軽くするには「声を出すこと」です。
例えば、
「潜降します!」「耳抜きOK!」「右耳OK!」「左耳OK!」
などプラス思考な言葉を発します。
(レギュレーターはくわえたままですよ!)

それにより右脳に直接安心感を与えます。肯定的な感覚が生まれ、左脳と右脳とのバランスがよくなり、左脳の不安感や恐怖感が増すのを抑えることができます。

自分に安心感を与えるためにも、マイナス思考ではなく、プラス思考の言葉を発しましょう。

どうしても抜けない場合

まず大切なことは、耳抜きができない状態で潜らないことです。

風邪や鼻炎、花粉症の場合は、事前に病院に行って治療をしてもらったり、耳管機能検査をして、ダイビングが出来る状態か確認して潜りましょう。

また、耳抜きがしやすくなるように練習やトレーニングをするのも一つです。
日常生活やプールなどで耳抜きを意識してみましょう。朝、目覚めた時に、耳抜き。トイレに行った時に、耳抜き。と習慣にされている方も多いです。

しかし、色んな方法や対策をとってもどうしても耳が抜けない場合は、普通の耳鼻科ではなく、専門医(ダイビングに理解のある耳鼻科)に相談してみましょう。

その上で、鼻がよく通るようになる薬や耳管を広げる薬などを使用することで、耳が抜けやすくなる人もいます。その際には、使い方と効果をしっかりと聞いておきましょう。
ダイビングの途中で薬の効果がなくなるとリバースブロックを引き起こして しまう可能性があります。

主な耳の検査

次にあげる検査で、耳の状態が検査できます。
特に、耳管機能検査は、ダイバーにとって、現在の耳管の状態がわかり、また、ご自身にあった耳抜きの方法が確認できるというメリットがあります。
ご参考までに載せておきます。

  • ◆耳管機能検査(チンパノグラム)
  • 耳管は鼻咽腔(鼻の奥)と内耳をつなぐ管です。気圧の変化などによって鼓膜に掛かる圧力が変化すると、開閉して中耳の内圧を外圧と等しくする働きをしています。しかし、圧力調節に異常が生じると障害が現れます。
    例えば、耳管が詰まった状態の耳管狭窄症では耳閉感が現れ、反対に耳管が開いたままの耳管開放症では、耳閉感と合わせて自分の声や呼吸音が大きく聞こえてしまいます。この検査では耳管に異常がないかを調べます。
    検査方法は、鼻に音源の端子を入れます。耳にはヘッドホンを当て、検査装置から音を出します。耳管の働きが正常であれば、つばを飲み込むたびにヘッドホンから音が聞こえます。これは耳管が開いて、鼻から耳へと音が伝わったためです。
    しかし、耳管狭窄症ではつばを飲み込んでも音が聞こえず、耳管開放症ではつばを飲み込まなくても常に音が聞こえます。
  • ◆ティンパノメトリー
  • 中耳は、鼻咽腔(鼻の奥)と耳管でつながっています。耳管には、中耳の換気をしたり、余分なものを排出する役目があります。耳管の働きが悪くなると、中耳の気圧の調節ができなくなり、気圧が低くなってしまいます。さらに、中耳に液体の貯まる滲出性中耳炎になったり、急性中耳炎を繰り返しやすくなります。
    ティンパノメトリーは、外耳道の圧力を変えながら、音の伝わり方を見て、中耳の状態を調べる検査です。
  • ◆純聴力検査
  • 音の周波数、125・250・500・1000・2000・4000・8000ヘルツ(Hz)の7段階の純音出す機器(オージオメーター)で、発する音をどの程度まで聞き取れるかを調べる検査です。空気伝導(空気中を伝わる音)・骨伝導(骨から直接伝わる音)の両方を検査します。
    空気伝導検査のみに異常が見られる場合は、外耳や内耳の伝音難聴が、骨伝導検査でも異常が見られる場合は、内耳から中枢に異常が起きている感音難聴の疑いがあります。
  • ◆平衡機能検査
  • めまいがある時に、その原因や程度を調べるためにする検査です。三半規管や視覚、深部知覚(関節や筋肉などが備えている働きで、目を閉じていても関節の曲がり具合や手足の位置などがわかること)などを調べて、平行機能が正しく働いているかどうかを調べます。
    眼球の動きを調べる眼振検査、足踏みをさせたり、台の上に立ち、台を傾けていって、どのくらいの角度まで耐えられるかを見たり、目隠しをして真っすぐ歩けるかどうかなどの体平衡機能検査、字を書かせる書字検査、外耳道に冷水を注入するカロリック検査などを行ないます。検査により抹消性と中枢性とが判別されます。
  • 中枢性の場合・・・聴神経腫瘍、小脳の障害、頭部外傷、脳出血、脳梗塞など、抹消性の場合・・・メニエール病、突発性難聴、内耳炎、頭位変換性めまいなど、が疑われます。
  • その他に、
  • ・鼓膜の検査
  • ・レントゲンによる耳・鼻の検査
  • ・ファイバースコープによる耳・鼻・喉の検査
  • ・アレルギー検査
  • などもあります。

耳に優しい潜り方

耳抜きを踏まえて、耳に優しい潜り方をまとめてみました。

  • ◆ご自身にあった耳抜きの方法をみつけましょう
  • 今までの耳抜きの方法を思い返し、耳抜きの方法やコツ、タイミングをつかみ、ご自身にあった正しい耳抜きを行いましょう。
  • ◆体調は万全にしておきましょう
  • 風邪や鼻炎などは耳管が腫れてしまい、耳が抜けにくくなります。そのような体調の時は、無理せずダイビングを中止しましょう。
  • ◆精神的不安を解消しましょう
  • 経験不足や過去の経験(エア切れ、漂流、はぐれ等)によりダイビングや海に精神的な不安がある場合は、担当のガイドに伝えておきましょう。伝えておくことでガイドもケアしてくれます。また、ご自身も少し不安が解消されます。
  • ◆ダイビング前の準備を万全にしておきましょう
  • ちょっとしたトラブルがストレスとなり、その緊張から耳が抜けにくくなります。器材のセッティングやマスクの調整、ウエイトのバランスなど、できる準備は余裕を持って早めに準備をしておきましょう。
  • ◆焦らず、ゆっくりと潜りましょう
  • 足から入るフィートファーストの姿勢で、潜降スピードが速くならないようにゆっくりと潜降しましょう。アンカーロープなどがある場合はそれを掴み、スピードをコントロールしましょう。
    重すぎるウエイトも潜降スピードが速くなり、耳抜きが間に合わなくなります。適正ウエイトで潜りましょう。
  • ◆耳抜きは、何度もおこないましょう
  • 一度耳が抜けても、水深が深くなればまた、耳抜きが必要になります。特に水深3~5mは水圧の変化が激しいので、こまめに耳抜きをしましょう。
  • ◆耳が痛む時は、無理をやめましょう
  • 耳が痛い時は、耳抜きが出来ていないか、抜け気っていませんので、無理をせずダイビングを中止しましょう。無理をして潜り続けると、浮上時にリバースブロックを起こす可能性があります。
  • ◆ゆとりのあるダイビングの計画を立てましょう
  • 耳抜きが苦手でない方でも1日に3本も、4本も潜ると後半に耳が抜けにくくなることがあります。耳抜きに不安のある方は、ダイビングの本数を控えめにし、休憩時間もしっかりと取るようにして、耳への負担を軽くしましょう。

耳抜きによる障害

耳抜きができずにおこる耳と鼻の障害をみておきましょう。

  • ◆耳痛
  • 耳痛は鼓膜の奥の中耳に液体が溜まり、それによって中耳が圧迫されることにより起こります。中耳は耳管によって鼻咽腔へつながっています。
    風邪やアレルギーによって、耳管が腫れて塞がってしまうことがあります。
    耳管が塞がれると、耳管からの液体の流れがたまり始め、鼻詰まり、痛み、難聴を起こします。
  • ◆潜水性中耳炎
  • 耳管の機能にトラブルがあると耳抜きが上手くできず、中耳内と外部に圧力差が生じ、その影響で潜水性中耳炎になることがあります。耳の痛み、耳閉感、難聴を起こします。
  • ◆耳閉感(じへいかん)
  • 耳がつまった感じや塞がった感じがすることで、聞こえにくかったり、耳鳴りをともなうこともあります。これは、耳管の働きが悪くなることが原因で、鼓膜の奥(中耳腔)に液体がたまる滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)によるものが多いです。
  • ◆鼓膜穿孔(こまくせんこう)
  • 「鼓膜が破れた」と一般的に言われる状態。耳抜きができず、外からの圧力により鼓膜が破れてしまいます。症状は、耳鳴りや痛みがありますが、耳垂れや出血を伴うこともあり、多少聞こえにくくなります。
  • ◆外耳炎
  • 耳の穴から鼓膜までの外耳道の皮膚が傷つき、そこからカビや細菌が感染し、炎症を起こします。
    症状は耳を引っ張ったり押すと患部が痛み、ご飯を噛んだり、飲み込むときにもあごを動かすと痛みが生じます。
  • ◆平衡障害(めまい・吐き気)
  • 耳管粘膜に炎症があると、耳抜きができにくくなります。そうなると中耳の圧力が増し、それが内耳へと影響を与え、めまいや吐き気を起こします。
  • ◆副鼻腔のスクイズ
  • 通常、副鼻腔は鼻腔と繋がっているので、耳抜きのような行動をとることなく、圧平衡が自然と出来ています。
    副鼻腔のスクイズは、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの症状があると、粘膜が腫れているため圧平衡が上手くいかず、副鼻腔スクイズを起こします。
  • ◆外リンパ瘻(がいりんぱろう)
  • 内耳窓破裂症とも呼ばれ、何かしらの原因で内耳窓が破れて、外 リンパ液とよばれる液体が中耳に漏れ出る病気です。突然に耳閉感、難聴、耳鳴、めまい、平衡障害を起こします。

リバースブロック

耳の解剖図

リバースブロック

リバースブロックとは
通常は、ダイビングの浮上中は、体内の空気が膨張し、自然と体外へ排出されますが、何らかの原因で空気の排出ができず、耳や副鼻腔(サイナス)、胃腸、歯に痛みを伴うことをリバースブロックといいます。

耳のリバースブロック
耳のリバースブロックは、浮上中に耳管が開放されず中耳腔の空気が排出しないと耳の圧迫感や痛みを生じます。
潜降中に耳抜きができにくく、耳管に負担をかけてしまっていると、耳管が腫れたり炎症をおこします。
それが、中耳腔の空気の排出を妨げ、鼓膜を外側に圧迫してしまい、内耳の障害を引き起こします。めまい、難聴、耳閉感を伴います。

副鼻腔の解剖図

副鼻腔(サイナス)のリバースブロック
通常、副鼻腔は鼻腔と繋がっているので、耳抜きのような行動をとることなく、圧平衡が自然と出来ています。
副鼻腔のリバースブロックは、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの症状があると、粘膜が腫れてしまい副鼻腔の空気の排出が悪くなり、体内で空気の圧迫がおこり、痛みを生じます。
症状としては、それぞれの空洞が痛む前頭部痛、頬痛、額痛があり、潜水後に顔や額に違和感や疼きを感じることもあります。

リバースブロックの対処法

もし、リバースブロックによる痛みを感じたら、痛みを感じなくなる水深まで再潜降し、圧平衡をとりながら通常よりもゆっくりと浮上します。
圧平衡の方法は、

  • ・鼻をつまんで鼻から空気を出してみる
  • ・鼻をつまんで鼻から空気を吸ってみる
  • ・それでも無理な時は、上記2通りを交互に行う

これらの方法で、体内で膨らんだ空気の逃げ道を作り、排出させます。

痛みが激しく浮上できない場合も、極力低速度で浮上させますが、潜水時間が長くなりタンクの空気がなくなる可能性がありますので、予備タンクを用意したり、炎症や腫れを軽減させるために薬品を服用させる場合もでてきます。

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